「少しだけ優しい世界を創ろう。」をビジョンに掲げ、アプリと端末(タグ)で優しい社会を作るサービス・プロジェクトとして、なくしもの防止&見守り用端末(タグ)「biblle(ビブル)」を開発、販売しているジョージ・アンド・ショーン合同会社(本社:東京都渋谷区・代表:井上憲)は、端末を付けた人から収集される”日常の行動のログ”から得られる情報を利用して、認知症になるであろうと予知・検知される患者様を早期発見できる機械学習プログラムを開発し、その実証実験としての第1期を終了いたしました。
本プログラムは、西日本電信電話株式会社 技術革新部 R&Dセンタ、シャープ株式会社、北陸先端科学技術大学院大学(以下、JAIST) 岡田研究室との共同開発により、2017年4月~2018年3月の期間における試作の中で実装し、開発されました。また、第1期の実証実験は2018年1月~3月の期間、関西圏の2つの高齢者施設にて行われ、実際に高齢者20名の方に端末の保持や、日常的なログの収集を行う協力を得て実施しています。本実証試験を行った結果として、認知症を予知・検知するプログラム(※1)は、利用するデータの種類により、最低80%から最高92%の精度(※2)にて、高齢者の認知症の予知・検知を実現することができました。
認知症に関連する費用は、認知症患者の増加に比例して年々増えています。2015年の調査(下記”「日本における認知症の社会的コスト」慶應義塾大学病院 佐渡充洋 著”データ参考)では、介護費、医療費、インフォーマルケアコスト(※3)などを総合した、認知症による経済的影響は14.5兆円に達しており、今後さらに大きな社会課題となっていくことが想定されています。一方で、認知症には進行段階があり、特に軽度認知障害(MCI)期においては適切な療法、治療により、14~44%程度回復することが可能であるといわれています。本施策では、これら認知症の発現を日常的な行動の変化から予知・検知することで、早期の対策により回復および進行を遅らせることを目的としています。
本施策は、認知症患者の予知・検知を本施策用に開発した機械学習プログラムを用いて推定しており、機械学習プログラムに利用している正解データは、認知症テストとして一般的に利用されている”長谷川式のスコア”(※4)となります。長谷川式の結果として、それぞれの端末から高齢者施設内の移動の履歴(位置ログ)、高齢者との会話の履歴(会話ログ)、睡眠状態の履歴(睡眠ログ)から得られる3つの行動ログデータを分析し、認知症として推定された人物の特定を行っています。
実サービス環境における利用を想定し、利用者と介護従事者の負担を最低限におさえながら、精度の高い推定を行うことを目的とし、各データ取得のセンサ端末から得られたデータをデータ毎に取り扱い、それぞれの機械学習プログラムを開発することで、既存で取得できているデータや、高価な設備導入を行わずとも特定の精度を保った認知症の検知ができるプログラムとして開発を行っています。
行動ログ取得に利用する端末と、各種端末より得られるデータは以下となります。
・ 位置ログ:
端末:なくしもの防止&見守り用端末(タグ)「biblle(ビブル)」(※5)
データ:高齢者施設内モニタリングである施設360°から得られる館内移動データ
・ 会話ログ:
端末:モバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」(※6)
データ:設置した部屋での高齢者とロボホンの対話データ
・ 睡眠ログ:
端末:センサ付きベッド
データ:睡眠時データ
本開発では、機械学習結果の可視化を目的に、分析用としてポータルの開発も行っています。
主な機能としては、以下の機能を備えています。
・施設毎の認知症判定結果の確認
・注意者リストのフラグ
・各個人の判定情報の詳細確認
今後は本施策の拡張として、改善に向けたプログラムの高度化を継続していく予定です。より高精度な予知推定プログラムの開発、また認知症のフェーズ毎の推定、および改善プログラムの適用時の改善分析などを継続することで、高齢者の認知症に関連する課題の早期発見と改善を促すための開発を進めていきます。
位置情報見守り「biblle(ビブル)」および、高齢者施設内の見守り・外出検知システム「施設360°(シセツサンロクマル)」(※7)の出展を中心に、2018年8/1本施策の発表も含めて、2018年8月1日(水)、2日(木)にて名古屋市の吹上ホールにて開催される、CareTex One 名古屋 2018 第一回 見守りシステム名古屋 への出展を行います。
本出展では、今回発表する認知症予知検知の研究施策内容も含めてご紹介する予定です。本展示会の詳細、および展示概要につきましては、以下のリンクよりご確認ください。
※1 認知症を検知するプログラム:本プログラムは機械学習エンジンを利用して、認知症である可能性を検知することを目的に製造されたものです。医療行為、またはそれに準ずる目的として利用するものではありません。
※2 検知プログラムの精度算出方法:一人抜き交差検定の結果として算出しています。被験者の総数 N-1を学習データとして機械学習を行い、残りの1人に対しての推定を行い、総数 N回分の学習を繰り返した結果の正解数より導かれる値となる。
※3 インフォーマルケアコスト:自治体や専門機関など、フォーマル(正式)な制度に基づき提供される支援ではなく、家族や友人、地域住民、ボランティアなどによる、制度に基づかない非公式な支援のこと。主には、傾聴やボランティアによる見守りなどを指す。
※4 長谷川式:テスト形式で行われる9問の問いに対し、30点満点で評価され、20点未満では認知症の傾向があるとするテスト
※5 biblle(ビブル):小型の端末とスマートホンのアプリケーションを利用したなくしもの防止&見守り用端末(タグ)。主には屋外での位置情報を確認するためのサービスとして提供しています。
※6 ロボホン:シャープ株式会社が開発した「モバイル型コミュニケーションロボット」です。二足歩行が可能なヒューマノイドロボットとしては小型のサイズ(身長約19.5cm)を実現し、外出先への持ち運びも可能です。
※7 施設360(シセツサンロクマル):高齢者施設内にお住まいの方のリアルタイムの位置情報を確認することや、施設内にお住まいの方の外出を自動で検知することができるシステムです。本システムの概要は以下よりご確認ください。
本リリースに記載される、各社社名、製品名は、それぞれ各社の登録商標です。
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